INTERNATIONAL WOMAN’S DAY 2024

INTERNATIONAL WOMAN’S DAY 2024

ジェンダー平等な未来へ向けて、問題を知り、考え、行動する
わたしたちらしく考えて起こしたアクションは「対話すること」

The POW BARのファウンダーであるスコット愛が、エシカルディレクターとして活動する早坂奈緒さんをお招きして、わたしたちの現代社会を取り巻くジェンダー問題についてお話しさせていただきました。

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「女性はこうでなくてはいけない」という文化が「個」を抑えつけている

スコット愛(以下スコット):疑問を持たない人が多いんですよね、きっと。教育がそうなっているように、小さい頃から「女性はこうでなくてはいけない」とか「女の子だから青ではなく赤い服を着なさい」と育てられてるとそれが普通になってしまう。どこかであれ?って気がつけばいいけど、なかなか簡単にはいかない。「女性はどうあるべき」とか「男性はこうあるべき」というよりかは「あなたはどうしたいのか」その個性を認めることが大切なのではないかなと思います。

早坂奈緒(以下早坂):子供を産むのは女性にしかできないことで、男性は何をするかというと狩りをしてご飯をとってくる。そんな縄文時代みたいな話ではないけど、生物学的には何か男女の間で役割分担があって、何となくそれが「男性は外で働く、女性は中で家を守る」みたいなかたちが成り立ってしまっていて、それが今の世の中に合わなくて「あれ、それっておかしいんじゃないかな?」となっていますよね。

最近訪れたアジアの各地では、トタン屋根のキオスクみたいなお店がたくさん並んでいるところがあって、そこでは男性は店先でお腹を出して寝ているんだけど、女性はハキハキと働いている姿があって。でもその女性たちは文句言うわけでもなく、それはそれ、自分は自分みたいな感じでやっていて個を大事にしている。そんな途上国の価値観というか勢いを感じたことがありました。

スコット:個が抑えられて我慢して生きるようになると、それを同じように誰かに押し付けてしまうようになってしまう。「私も我慢しているのだから、あなたも我慢しなければいけない。なんであの人はあんなに自由にしているんだ」とか、何かそういう意識がまだ今の日本の社会全体にあるのかなと。小さい頃からそういう価値観で育てられると、大人になってからも影響はあって、誰もが自由に意見を発信したり行動できる”個の時代”ではどうしても生きにくさを感じてしまいますよね。


誰もが個を認めてサポートすること・されること
性別の違いを理解して、お互いを認め合うことが大切

スコット:北欧の国では仕事場を男女平等に分けるのではなく、仕事を選ぶ時に平等な権利・機会を与えるようにしていて、そうすると実際仕事場の割合は自然と男女の比率が平等ではなくなると聞いたことがあります。要は、力仕事では男性が多かったり、ナースなどケアが必要な職場では女性が多かったり。仕事場で「半数が女性でないといけない」と言うような数字的な問題ではなく、平等な権利と機会を与えること、そしてそれを行政と社会が理解していることが大事なのではないでしょうか。

性別の違いという大きなくくりの中にある、そういった生物学上の根本的な枠みたいなものはベースとしてあって、その次にその人の性格や意思があるのかなと思います。性別を問わず自分らしく輝ける社会の実現を目指すためには、誰もが個を認めてサポートすること・されることが大切。例えば、男性の育児休暇だったり、男性でも女性でも家事を気持ちよく分担できるようになる社会の仕組み作りがもっと必要なのかもしれませんね。

早坂:生物学的にどうしようもない女性の生理痛だったり、そういうものがあることを男性に理解してもらいながら、そして男性のことも理解した上で、どういうふうに仕事してどう生きていくかお互いに認め合っていくことも大切だと思っています。

女子は小学生高学年ぐらいから生理が始まりますが、それを男子にからかわれる経験をしたことがある子ってたくさんいるはず。そんな状況だから本来ならば隠すことではない性別の違いをなかなか理解してもらえない。生理は恥ずかしいものと隠してしまったり、私も自分の母親がいつ生理だったのか気づいたこともなかったし、性教育の時点で女性と男性の違いがしっかり理解されずにここまで来てしまった。

根本を突き詰めていくと、性教育から考え直す必要があるかもしれませんね。そこのスタートをきちんと切ることができたら、ジェンダーレスや多様性などを寛容に受け入れることができて、もっと柔軟に相手を認めることができるマインドが養えるんじゃないかなと思っています。


わたしたちが女性だからこそできるサポート

早坂:私がエシカルディレクターとして活動しているベースには、女性ならではのアイテムである「布ナプキン」の会社で勤めた経験があります。ゴミを減らすという目的もありましたが、オーガニックコットンとの出会いや、布ナプキンを使うことで自分の身体を知ることができたし、食べるものや価値観を考え直すきっかけにもなりましたね。

ちょうどその頃は娘の初潮がくる時期でもあったのですが、自分が布ナプキンを使うことで娘も自然と使うようになっていて、親として娘の身体の変化をサポートできたのは私の中で大きなことだと思っています。

スコット:私は女性で、男性と比べると体力や筋力は劣る。当時夢中になっていた山登りやアウトドアスポーツを全力で楽しみたくて、その部分を補うためにエナジーバーの開発をはじめました。

生活を整えたり食生活を変えることで、体力や生理痛など女性ならではのデメリットに捉えられそうな部分もマネジメントできるはず。性別の違いを無理に見て見ぬふりするのではなく、女性ならではの問題も上手にサポートしていきたいですね。食生活を変えたら体の違いを感じるとか、気持ちも前向きになれたとか、The POW BARを通してそういう女性がいたらすごく嬉しいなと思います。

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早坂奈緒
エシカルディレクター、NEW NERGY CURATOR

山形県鶴岡市出身。Z世代の娘を持つワーキングマザー。実家は、ユネスコ食文化創造都市鶴岡で110年続く酒・食品会社。大手アパレルのPR、女性用布ナプキン専門店取締役を経て、2019年H.P.FRANCEエシカル事業部へ。「rooms」エシカルエリアディレクター、「エシカルコンビニ」ディレクター&バイヤーを務める。現在は、クリエイティブの祭典「NEW ENERGY」のキュレーター、サステナビリティや、エシカルに関わるブランド・企業・自治体へのプロジェクトディレクション、商品開発・ワークショップ・セミナー・PRなど企画を手掛ける。自身のブランド「THE ETHNOBOTANY OF EDEN」を準備中。



スコット愛
The POW BAR ファウンダー

北海道斜里郡小清水町出身。幼少期から父親に連れられて山登りへ。6年間アウトドアメーカー勤務後、フードブランドBIOLIFE LABをスタート。エナジーバーの開発やケータリング、ヴィーガン焼き菓子のポップアップショップやイベントなどを手掛ける。2019年、自身の経験を基に開発したエナジーバーブランドThe POW BARを立ち上げる。同時にThe POW BAR cafeをオープンし、ブランドコンセプトを気軽に感じてもらえる場所として、地域の活性化に貢献している。一児の母。

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